諸事情から,ブログ更新をさぼっていた。諸事情というのはまやかしで,単にさぼっていたというのが実態に等しいのだが,まあ,こういう状態が2週間も続くと,また書き始めるきっかけがなかなかつかめない。加えて,Facebookの方が活発になり,ブログより簡便であるところから,ちょっとしたことは,こちらに書き込んでしまうようになった。
はっきりいって,私のWebサイトはもう止める潮時をとうに通り越しているような気がする。Facebook,あるいは私はまだ手をつけていないがTwitterあたりと連動し,更新が楽なブログの形態を模索しているところだ。
さて,今回は,そんなこんなの諸事情を省みずにどうしても書いておきたいことがある。これもやや機を逸しているが,昨日の出来事だ。
朝,オフィスに着いたら,マネージャー3人が一つの部屋でなにやら相談している光景を見た。スケジュールされたミーティングという時間帯ではない。これは一種いやな光景であり,なにか悪いことが起きると容易に連想できる。まあ思い過ごしということも,ないではないが,朝一番,いやなものを見たと思った。
席につき,まずはメールのチェック。このとき,Outlookからパスワード問い合わせのダイアログが出た。それも2回連続だった。あれ?とは思ったがその後何も起きなかったので,そのままメールのチェックを続けた。実は,「何も起きなかった」ことがいけない。本当は,新しいメールが取れないといけなかったのだが,見た目はエラーが出るわけでもないので,気づかなかった。まったくたまたまなのだが,これがこの後,私を混乱に陥れた。
しばらく,通常どおり仕事をしていた。何となくいやな雰囲気があったが,まあ何も起きないようだな,などと思っていた。
すると突然,となりのグループのベトナム系女性のQAのNが「じゃあ,みんな,私もう行くから!」といい,回りのスタッフがワラワラと集まって来た。彼女は主だった人に別れを告げている。何だ?何が起きているんだ?やっぱり何かあった。彼女は辞めさせられたようだ。それとも,何か事情があって,自分から退社していくのか?いずれにせよ,なぜ何の知らせも無いのか?
実は,私のOutlookが先ほどのパスワードエラーでひっかかったままで,メッセージを取っていない状態だったのだ。しかし,そのときは,多分,別のグループなので,私にはそのうち説明のメールでも来るんだろうと思っていた。
やれやれかわいそうに。再び席に着く。すると隣の我がチームのQAリード,Pの回りに人が集まりだした。何だ,今日は何をやっているんだろう?と思っていたら。え?彼も身辺整理をしているようだ。何で何の知らせも無いわけ?いったい何が起きているんだ。
おかしい!ここでついにOutlookに疑いを持った。面倒なので,マシンを再起動した。それより前に,Pは去って行った。再起動できたので,やっと新しいメールが取れた。ああ,あったよ。げえ!他にも二人辞めさせられているではないか。2ヶ月前までいた前のチームのプログラマのT,そして何と,我々のマネージャーBも波をかぶっていた。そういえば今日はBを見ないと思ったが,決定を受け,出社するとすぐ荷物をまとめ,何も言わずに去ったようだ。彼からは後でメールの挨拶が来たが,とにかく,月曜の朝一番にマネージャー1名を含む4名があっさりと解雇されたのだった。Outlookのトラブルが重なり,状況が読めないままあっという間の大波が去っていった。
30分後,全体ミーティングが開かれた。
内容は予想どおり。そう,月曜の朝一番ということで,驚いたけれど,これは予想されていたことなのである。
日本円が強いこのごろであるが,オーストラリアドルも堅調である。対USドルのレートは高くなる一方。四半世紀以上にわたり,AUD1.00 < USD1.00であったのに,これが今年に入って逆転。一時期 AUD1.00 = USD1.07まで行ったこともある。最近いくらか落ち着いてきたものの,現在 AUDとUSDはほぼ1対1で,ややオーストラリアドルが強い傾向は変わらない。
これは何を意味するか?特に私のようにアメリカに本社を置く会社で,どういうことになるか?
つまり,我々は昇進もしていないのに,本社からみれば,どんどん給料が上がっていることになるのである。
ミーティングの席で言われたことだが,我々は,社内で,世界一高いプロジェクトを担当しているということになるそうだ。世界一費用のかかるプロジェクトだからといって,世界一売り上げを出すわけではない。何とかしないと存続の危機に瀕してしまうのは目に見えている。
幸いメルボルンにはテクノロジーの集積がある。これは無為につぶせない。そして技術ブレーンの大物が仕切っている。これが強い。しかし,為替差損はどうしようもない。そこで生き残りのためにどうしてもやらなければならないリストラが昨日断行されたということだ。
そして業務の一部は中国のチームに担当させ,コストを削ることとなった。これは一部すでに計画されていたことだが,今回これをもっとドラスティックにやる方針となった。
おそらく,もう後が無い。これでうまくいかなければチームは解散。4年前,プロジェクトがそっくりイスラエルの開発チームに移管されたが,それと同じようなことが起きるだろう。そのとき,メルボルンのオフィスが存続するかどうかも怪しい。存続したとして,私は残りチームに移れるか?移ったとしてそのチームはいつまで持つか?あるいは,移管先の中国で出稼ぎするか?いずれにせよ,大きな変化が訪れることになる。せめてあと2-3年持ちこたえてくれれば事態はまた新たな展開を見せると思うのだが。
いままでも,大波小波,幾多の波をかわし,この会社で10年以上生き延びてきた。行けところまで行ってやる。次はかわしきれないと思いながらまだ生き延びている。次はどうか。
ま,だめだったら,そのときはそのとき。何とかなるでしょう。いずれにせよ,レジュメを更新しておかないとね。