私がよく見るWebサイトの一つに朝日アスパラクラブのA.I.C.というのがある。アスパラクラブは,Asahi.comの会員制(登録無料)のコラムだが,その中に,A.I.C.(Asahi Internet Caster)というのがある。朝日新聞の現役,または元記者がコラムを書いているコーナーである。曜日ごとに日替わりで毎日数本ずつ更新されるが,中でも毎週楽しみにしているものの一つに,鐸木 能光(たくき よしみつ)氏の「デジタルストレス王」がある。今日のこのコラムに,ショッキングなことが書いてあったので,紹介したい。題名は「日本が世界を破滅させる日」というもの。
本来リンクを示せば済むことなのだが,会員制ページなので,すぐに読めない方もいると思い,受け売りを以下に書く。
ここ数日,不二家のことなどが,騒がれていて,マスコミは躍起になって不二家を攻撃しているが,これは,この事件が分かりやすい標的であるからである。実は,こんなことはどうでもいいことに近く,もっともっとマスコミが取り上げるべきことがある。しかし,どんなに重要なことでも,取り上げにくいという理由で,世間にあまり知らされていないことがある。
こういう書きにくいものの中で,氏が一番心配しているものは,六ヶ所村の放射性廃棄物再処理工場の本格稼動への動きだという。
そして,元駐スイス大使,村田光平氏が,2004年11月に当時の政府の政治家に向けて出した書簡が紹介されている。これはリンクがあるので見て欲しい。
「再処理問題は原子力委員会ではなく国会審議を」
これは,怖い。
まず,この再処理工場で使われるパイプの総延長が1500km(メートルではない。キロメートルである!)で,溶接箇所が40万箇所もあること。これだけで,この工場の安全確保がどれほど難しいか想像できる。
そして,再処理工場で事故が起きると,原発事故よりはるかに放射性物質の放出量が多く,最悪の場合半径100kmの全住民が,致死量の20倍から100倍の放射能を浴びることになるというのである。
知らなかった。あまりにもひどい。
原子力関係の安全管理がずさんだった例は,いままでもいやという程見てきた。これが,いちいち改善されていればいいが,大丈夫か?大丈夫だとして,それは,六ヶ所村についても当てはまるのか?当てはまるとして,その改善で十分なのか?また,これらの事々を,どうやって証明するのか?
万一事故が起きたらの話しだからそんなに心配しないでも…というのは甘い。というか,そう思えるとしたら,その人の楽天性にあきれ返る。この脆弱な施設は,今後何十年も使用される。上記のような配管,溶接をこんな長い間メインテナンスすることは可能なのか。本州を縦断するような長さの,曲がりくねった,つぎはぎだらけのパイプラインを維持し,その中のものを絶対に外に漏らさないようにする。これがどれだけ大変なことか。
そして,事故がなくても,テロ攻撃,北朝鮮のミサイル攻撃,単なるいたずら,そして,忘れちゃならないのが地震である!これらのことから,ことごとく施設を守り通すことができるのか?
でも,この施設は必要だからしょうがないかというと,これが,どうも必要ない方に近いらしい。
まず,再処理によって作られるプルトニウムの使用法が決まっていない。これで長崎型原爆が作れるのは想像できると思うが,これはやっぱりまずいだろう。ただでさえ,世界に核兵器があふれている。これ以上増やしてどうする?
では,それ以外にどうするか?無理に使うために,原発のプルサーマル方式というのが考えだされた(というか,もともとこれで使用済み核燃料がリサイクルできるというのが再処理工場を作った理由)が,これも今では,単にウランを燃やすよりコストがかかるようになってしまい。どこも積極的ではない。そして,プルトニウム以外にも高濃度放射性物質が残り,これがどんどん増えていったとき,これをどこにどうやって保存するのか?そこらに捨てるわけにはいかない。安全な場所に数千年以上も保管しないとならないのである。
鐸木氏によれば,再処理というのは現状では全くのウソであり,まったくリサイクルのめどがたっていない。仮にプルトニウムについて,原爆以外のリサイクル使途が見つかったとしても,それ以外の副産物も高濃度放射性物質であり,これについてはどう処理するのか?どこかに数千年規模の時間保管していくしかない。ここが攻撃されたら,これも危ないだろう。
ということで,日本が世界を破滅させる日というタイトルは現実味を帯びてくる。
いったい,どうしてこんな恐ろしいことが,野放しになっているのか?関係者はどうして,この状況を知りつつ,平気でいられるのか?
あるいは,マスコミも知ってて報道しないということがあるのではないか?だとしたら,どこから,どういう圧力がかかっているのか?
今日のところは,私も勉強不足なので,このあたりをもう少し調べてみたいと思っている。まあ,暇があったらだけど。
今回,そのまんま東のこととか,不二家のこととか書こうかと思っていたが,これでいっぺんに目が覚めてしまった感がある。
きっこのブログにも,取り上げてくれるようにメールしようかな?
ということで,この件については,また機会があったら取り上げてみたいと思う。