この辺でロックダウンの話をしよう

本日2021年8月16日,メルボルンのロックダウンがさらに2週間延期と決まった。
それに加え,今夜から午後9時から午前5時の外出が禁止となる。

lockswon6.2
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このあたりで,主に日本の読者の皆さんを対象に,オーストラリア,メルボルンのロックダウンについて,紹介しておこうかと思う。
以下,いろいろ説明するが,日本と比べ良い,悪いということを訴えたいのではない。ただ,コロナに対してこういうアプローチもありますよということを紹介するにとどめたい。

さて,それではロックダウンとは?まずはざっくりと,ロックダウンになると生活がどうなるか?

  • 不要不急の外出はできない。控えるのではなく,禁止である。
  • 家族以外の人とは基本的に会えない。外食はできない。できるのはTakeaway(米語:Take Out)とデリバリーのみ。
  • 5㎞以内なら,食料や必需品の買い物はできる。とってもラッキーなのは,お酒もこの買い物に含まれること。
  • 自宅勤務。これは私の場合,昨年3月以降,ロックダウンじゃなくても原則そうなのだが,週に1度ぐらい出勤もできた。これが全面自宅勤務となる。

ということで,買い物が多少不便。
昨年独立して,家を出た娘には会えない。一緒に食事もできない。
だが,いつもの自宅勤務は変わらないので,まあ,普段の,平日の生活にはあまり影響がない。
しかし,普段の生活=家で妻と二人べったりということで,勢い,楽しみは

  • おいしいものを食べ
  • おいしいお酒を呑む
  • テレビを見る
  • 音楽を聴く
  • スマホやタブレットでゲーム
  • 寝る

といった感じだ。
特に「呑み食い」は大切な楽しみとなる。その他の支出が減っている分,もっとおいしいものを呑み,食うという方向に傾いていく。

まあ,以上がすべてだといってもいい。
ロックダウンの詳細は,このページの最後にまとめてあるので,興味のある方はご一読を。

どうして日本と違うのか?
それについてはまず,日本とオーストラリアの「事情の違い」を理解しないとならない。
「日本と比べ良い,悪いということを訴えたいのではない。」と書いた所以だ。

ご存じのように,オーストラリアは大陸そのものが一つの国である。それ以外にタスマニアを筆頭とする大小の島もあるが,とにかく,他国と地続きになっていない。この点では広さこそ違うが,日本と似ている部分もある。
しかし決定的に違うのは人口,更には人口密度である。
概ね日本の20倍の国土に,日本の人口の5分の1程の人がいる。単純計算すると人口密度はざっと日本の1/100となるが,都市部を比べないと意味がない。
Wikipediaによれば東京都の人口密度は6,400人/平方kmほど,23区に限れば15,492人/平方kmだそうだ。。
それに対し,メルボルンの人口はざっと500万人だが,都市部が広大で,人口密度は508.2人/平方kmである。

要点:メルボルン都市部は東京23区の約14倍の面積に東京23区の半分強の人口。人口密度は東京23区の約1/30である。

国全体が一つの大陸だから,ボーダーは実質的に国際空港のみとなる。したがって,伝染病の感染予防はその関門さえしっかり管理すればうまくいく。
一日の感染者数が数万人規模に上った欧米諸国とくらべれば,ほとんど無視できるぐらいの感染者数で納まっている。
なので,オーストラリア政府は,ロックダウンなどの厳しい措置によって感染者をゼロにできると考え,実際それを実行しようとしている。

事実,これは一応成功している。

メルボルンでは昨年2020年の3月下旬からロックダウンが始まり,紆余曲折はあったが,とにかく新規感染者数ゼロが連続する期間があった。
しかし,ひとたび規制を緩めると,またどこからともなく感染者が出始め,ふたたびロックダウンとなる。規制緩和により他州から人が入り,感染者が発見されると,ホテルに隔離するのだが,このホテル従業員が媒介となって感染が拡散する事例が繰り返されている。これはデルタ株が入ってから顕著となった。中には迂闊な人もいただろうが,相当気を付けているはずなのに,感染は起きる。おそらくエアロゾル感染が起きたと思われる。

州政府は,たとえ10人未満でも感染者が発見されるや,感染経路を特定しようとする。今回の場合,感染経路がはっきりしない人数が多かった。これが州政府を神経質にし,速やかにロックダウンを発令する。この速さが最近とみに加速している。

今現在のロックダウンはメルボルンでは6回目。最近ではコンピューター用語にかけて,Lockdown 6.0などと呼ぶ人も増えた。
この6回目のロックダウンは8月5日午後8時より1週間の予定で開始された。発表から4時間後に実施と異例の速さだった。
原因はその前数日間,ニューサウスウェールズ州(シドニーのある州)との州境付近で発生したクラスター。
その後も感染者数が増えた。人数的にはたった数人レベルだったが,感染経路がはっきりしないことが問題視され,ロックダウンとなった。
シドニーはその前からロックダウン中だったが,一向に感染者数が減らない。メルボルンも同様数字が下がらず,翌週,1週間延長となった。Lockdown 6.1である。

そして,本日昼頃またビクトリア州知事から発表があり,Lockdown 6.2が現実のものとなった。今度は2週間の延長である。そしてこれに加え,今夜からCurfewが追加された。
Curfewとは「外出禁止」のことである。今夜からロックダウン期間中は,午後9時-午前5時の外出が禁止となった。

まだまだ書きたいことが残っているので,後日続編を書く。

付録:ロックダウンのすべて
現在のロックダウンは8月5日午後8時に開始され,2回の延長を経て,9月2日までの予定である。

  1. マスク着用
    マスクは常に携帯し,住んでいる家(home) 以外では屋内外を問わず着用が義務付けられる
  2. 外出
    外出は以下の5つの理由以外は禁止
    • 食料と生活必需品の買い物(5㎞以内)
    • 2時間以内のエクササイズ。同道できるのは他1名のみ
    • 介護サービス提供。医療関係サービスの授受(本人,保護者のみ)
    • 教育や就労で許可されたもの(許可証取得が条件)
    • ワクチン接種
  3. 医療介護施設
    • 老人ホームは面会禁止
    • 患者以外の病院への入館は終末ケア患者への面会,出産本人とパートナーのみ許可
  4. 教育
    • 小学校は特例児童,許可を得て外勤する者の子供以外はリモート授業
    • 保育園,幼稚園は通常通り開園
    • 高等教育(日本でいう中学以上)はすべてリモート授業
  5. 職場
    許可されない限り,在宅勤務を義務付ける。ちなみに,通常のオフィスワーカーの場合,出社許可はまず出ない。
  6. 集会
    • 屋内外,公私を問わず,同居人以外の人と集まることは禁止。
    • 交際中のパートナー,Single Bubble(一人住まいの人が特に指名した1名)は例外。
    • また,文脈から,他の1名といっしょにエクササイズすることは認められる。
  7. 買い物
    スーパーマーケット,ガソリンスタンド,酒屋(ラッキー!),銀行,薬屋は営業を続けられるが,買い物は家から5㎞以内。ただし最も近い店が5㎞以内にない場合はその限りではない。
  8. 冠婚葬祭
    • 葬儀は参列10名までと葬儀進行者のみ(0歳児はカウントしない)
    • 結婚式は原則禁止。国外退去や終末期を控えた挙式は特例として認めるが参列は当事者2名,挙式進行人1名,証人2名の計5名のみ。
  9. エンターテイメント
    映画館,ドライブインシネマ,遊園地,カジノ,ベッティング(賭け事)・ゲーム施設,風俗店はすべて休業。
  10. 美容サービス
    美容師,パーソナルサービス,美容サービスは営業禁止
  11. スポーツ,エクササイズ
    • 2名(自分以外1名)まで同行し,5㎞以内で一日2時間までのエクササイズを認める
    • スポーツ施設はすべて休業
    • アウトドアの子供向け遊戯施設は通常通り だったが,Lockdown 6.2で使用禁止となった。
    • 許可済のスポーツイベントは実施できるが,無観客。
  12. 礼拝
    礼拝のための集会禁止。ただし,放送による礼拝行事に5名まで集まることができる。
  13. 食事
    レストラン,パブ,カフェはTakeaway (米語:Take Out)のみ営業可能
  14. 不動産業
    オークションはオンラインのみ
  15. 公共施設
    屋外での集会禁止
  16. 移動
    家から5㎞以内のみ行動可能。以下は例外
    • 食品と生活必需品でどうしても5㎞以内で購入できない場合
    • 交際中のパートナーと会う
    • Single Bubble(一人住まいの人が特に指名した1名)と会う
    • 特に許可された仕事,教育のための移動
    • 他州への移動(ただしその州からの許可も必要)
    • 介護,支援サービス

今回,Lockdown 6.2 では,これらに加え,Curfewが追加された。
Curfewとは外出禁止のこと。具体的には今夜8月16日夜9時から始まり,午後9時から翌朝午前5時までは5㎞以内であっても外出できない。

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