昼休み,今日の弁当はパスタである。いつものスピッラーリに本場イタリア製Sacraブランドのチェリートマト入りパスタソースをぶっかけただけ。一人分2ドルしない,超耐乏モードである。背伸びして娘を私立校に行かせたりすると,こういうことになるのである。ま,それはともかく。食べ終わってタッパウエアにふたをしているとき,消音モードの我がiPhoneが震えだした。お,電話だ!
会社の近所にある某ごはん屋からだった。オーナーのReicoさんだ。
「おう!」
「ごはん屋です。」
「どうした?」
「ごはん食べた?」
「食べた」
「食べたかー。何食べたの?」
「パスタだよ。それがどうした?」
「いや,暇なんだよね。」
「ふーん」
「食べに来てもらおうかと思ったんだけどさあ」
「だめだよ。おりゃあ普段弁当なんだ。ビンボーだからね。」
「客が全然いないんだよ。」
「そーかー。じゃあ,行ってやる」
「サクラに来てよ。お茶ぐらい淹れるから」
「よし,じゃ,今行く」
サクラといっても,おいしそうに,外向いて食べるとかいうのではない。食いもしないのに,行くのである。
ごはん屋に着いたら,本当だ!店員はReicoさんとバイト2名で計3名。お客はゼロ!こりゃ赤字だろう。大丈夫か?
カウンターに座り,早速お茶を淹れてもらう。
お茶が出るまで世間話など。
その間に一人お客が来た。
バイトが注文をとる間にお茶を注いでもらう。
注文をとり終わるころ,また一人。
Reicoさんは注文が出たので厨房へ
私はお茶をすすりつつ,iPhoneに入れた数独などをやって,時間をつぶす。
来る。また客が来る。
一番やさしいモードの数独が10分ほどで解き終わったころ,店のテーブルが三つぐらいは埋まったか?
電話での注文も入った。
まだ,いつもほどの客の入りには程遠いが,ゼロではなくなった。
そう,私には,どうやら,この店に客を誘い込む不思議な力があるらしいのだ。
いわば,ここの招き猫である。
ごはん屋にはずいぶん通っているが,Reicoさんと話ができるのは,非常に限られた時間である。
行くと,客や電話注文が殺到し,Reicoさんは,とたんに厨房でてんてこ舞いとなるのだ。
今日はそこまでではなかったけどね。
メルボルンで日本食レストランを経営している方,試してみませんか。
お食事を一回ご馳走していただければ,霊験あらたか,たちどころに店が満員に…
なるかもしれません。