春がくれたおまけ

九月に入って,一度は暖かくなったりしたが,この1週間あまり,寒い日が続いていた。
今日のメルボルン。予想最高気温は23度。昨日が15度だったから,ポンっと春がやってきたって気分だ。
天気も上々。さっき昼休みに上着をはおらず,外に出た。風がやや強いが,それでも寒いとは感じない。これで無風だったら,暑いぐらいかもしれない。

金曜日ということもあり,気分は爽快。今日はアコちゃんのサンルーフを全開にして会社に向った。気持ちいいことはなはだしかった。

昼休み,週末用のパンを買いに,会社の近くのパン屋さんへ。

一ヶ月ほど前,このパン屋さんで,日本人の女性が働いていることを発見した。
多分,前にも見かけていて,あれ,この人日本人かな?と思ったことがあったのではないか。
その時は,あんまり英語が上手なので,「やっぱりちがった!」と思ってしまった。
しかし,一ヶ月前に見かけたときは,胸に名札をつけており,それが日本人の名前だった。

「C子さん?」いきなり日本語でその名札を読んで話しかけたら,瞬間的に言葉を英語からスイッチして「はい!」と返事が返ってきた。
いやー,おどろいたなあ。こんなところで,日本人が働いているなんて。

ちなみにこのパン屋さん。その名前からして,フランス系の人が開いたチェーン店と思われる。
ここの店員は社長がいちいち面接して,趣味で採っているのでは?というぐらい,美人が多い。
サウスヤラ,Comoセンターにある店には,その昔,フランソワーズモレシャンの姉かというようなフランス顔の中年女性がおり,フランスなまりもエレガント。
彼女だけ,ユニフォームを着ていないので,私達は,彼女がきっとオーナーか,オーナーの奥さんだろうと信じて疑わなかった。「モレシャンの店」などと呼んでいたこともある。
そして,店員に,昨日ニューカレドニアから連れてきましたみたいな,肌の色が濃く,ものすごい美人のお姉さんがいた。その人もちょっとフランス語なまりの英語を話していた。
ちなみに,男性店員もハンサムが多い。多分モレシャンの趣味だな。
Lのマークが目印のこの店。興味があったら行ってみてほしい。他にもいくつか店がある。

さて,会社のそばにあるのはCamberwell店。ここもご多分に漏れず,美人の店員が多い。
ひとりだけ,胸の上に赤ん坊を二人寝かせられそうな,大変恰幅のいいフランスなまりのおばさんがいるが,それでも顔の造りは美人系だ。
最近,アジア系の女性店員もちらほらいるが,やはり水準は高い。
そんななか,かなり金色っぽく髪を染めたアジア系の女の子がいたのだ。そして名札を見たらそれがC子さんだったというわけである。

今日お目にかかるのが3回目だったが,店に入ったら,カウンターの向こう側から,いきなり両手を挙げ,大きく振って歓迎してくれた。
なんか,うれしいよねえ。
過去二回とも,同じものを買ったので,すぐに「オリーブですか?」と聞いてきた。うわ,覚えていてくれたの?
いやー,オリーブブレッドは実はすごく高いんで,どうしよかなと思っていたんだが,そう聞かれたら,買わないわけにもいかない。

そして,おまけがついた。
「お仕事中ですか?」
というのでうなずいたら,なんだか,別のものを箱に詰めている。
「これ会社の皆さんでどうぞ」
と,ドーナツを6個,おまけしてくれたのだ。
あれ?パン一つにドーナツ6個のおまけ?なんだか悪いなあ。
「いやー,こんなに!?すみませんねえ。」
「今日はあたたかいので,ドーナツの売れ行きが悪いんで,いいんですよ。」
などと,言い訳していたが,ますます,うれしかった。

職場にもどって,みんなにドーナツをおすそ分けした。
「あれ?なんで?誰かの誕生日?」
と聞かれたので,いきさつを話したら,

「おーい,あそこのパン屋にマサのガールフレンドがいるらしいぞ。」
などとからかわれた。
「いいなあ,いけばドーナツもらえるのかよ?」
「いや,ちゃんと買うものは別に買って,金払ってるよ。これはおまけだってば。」
「おーい,マサがガールフレンドからドーナツもらってきたぞー,食え食え。」

にやにやしてしまった。自分でも顔が赤らんでいるのが分かる。端末をにらんだまま,しばらく振り返れなかった。

春ですなあ。

と思ってふと外をみたら,曇ってきた。風もつめたそう。
さすがはメルボルン。

でも明日はさらに暖かく25度の予想。

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