Bush Fire FAQ

2月7日,現在では「Black Saturday(暗黒の土曜日)」と呼ばれるこの日に始まったビクトリア州のブッシュファイヤー(山火事)。日本でもトップニュースになり,日本の親戚,友人などからお見舞いの電話,メールをたくさんいただいていいます。大変ご心配をおかけしております。

この火事は,メルボルン在住日本人のブログなどにも,かなり取り上げられています。
あいにく私は先週今週と多忙で,ブログの記事をまとめる時間がなく,このWebサイトの役割を果たせずに終わってしまいました。そこで,今日は遅れ馳せながら,今まで寄せられた電話,メールを元に,想定質問などを交えて,FAQ(Frequently Asked Questions)を作ってみました。あまり新しい情報はありませんが,総集編として読んでみてください。

Q1:根本家の皆さんは大丈夫ですか?ブログの更新が止まっていますが?
A1:全員無事です。家も焼かれたりしていません。ブログの更新が止まっているのは,単に,このところ多忙だからです。だいいち,このサイトは,自宅のサーバで運用してますから,もし火事で焼きだされたりしたら,このサイト自体が読めなくなります。この山火事は,日本では「メルボルン近郊」などと報道されているようで,これが誤解を招いているようですが,実際には山火事の場所は,メルボルンに一番近い所でも直線距離にして,50km以上離れています。車で行っても,1時間以上かかるところです。メルボルンを東京とするなら,厚木とか,成田ぐらいのところが燃えていると思ってください。従って,メルボルンの都市部に住んでいる人は全く影響ありません。ただひとつ,風向きによっては,煙が都市部にもなびいて来て,空が濃霧に覆われたようになります。太陽はオレンジ色に,月は真っ赤に見えます。すこし焦げ臭い匂いもします。


煙に包まれた太陽。オレンジ色で肉眼で見ても大丈夫なくらいに煙っている。2月13日(金曜日)午後7時ごろ撮影。

Q2:他の在住日本人の方々はどうでしょう?
A2:これは住んでいる場所によりますが,ほとんどの在留邦人はメルボルン都市部に住んでおり,今のところ,まず心配ないでしょう。「私はメルボルンに住んでいます」と言っている人は都市部に住んでいると思って構いません。「私はメルボルンから車で1時間以上かかる所に住んでいます」という人がいたら,要注意です。ただ,私の知っている範囲では,日本人の犠牲者はいませんし,家を焼け出されたといった被害者もいないと思います。
ただひとつだけ,人から聞いた話ですが,ワーキングホリデーで当地を訪れている日本人が,山火事の現場に遭遇し,命からがら逃げ出したという話は聞きました。でもこの人たちは,皆さん命に別状はないようです。

Q3:では,都市部に住んでいる人は全く心配ないのですね?
A3:今回の山火事の影響という意味ではそのとおりです。ただし,都市部も外縁になればなるほど樹木が深くなってきます。今年は特に乾燥していますので,いつどこでまた山火事が発生するかわかりません。昔,メルボルンの中心地から10kmちょっとのところで山火事が起き,多くの家屋が被害を受けました。これなどは,もう都市部とはいえないかもしれませんが,少なくともそこの住人は「メルボルン」の住人です。したがって今年は雨が多くなる4月ぐらいまで,まだまだ警戒が必要です。ただ,これは,程度の差こそあれ,毎年夏,1月から3月にかけていつでも言えることですから,ことさら今年だけが心配なのではありません。

Q4:燃えている場所はどこですか?
A4:一か所ではありません。大部分はメルボルンの北東方面ですが,真東方面で数か所,北北西,西北西,西南西方向でそれぞれ一か所ずつ,単独の山火事があります。鎮火したものを含めて合計24か所で火が出ているという報道がありました。
詳しくは,ビクトリア州山火事被害詳細地図をご覧ください。なお,この情報は2月9日以降更新されていないようです。

Q5:火はどうして点いたのでしょう?
A5:2月7日は,メルボルン市内で46度の猛暑となり,しかも空気は非常に乾燥しており,風も強かったのです。これにより,自然発火(ほとんどが落雷によるもの)を誘発。また,一部は放火により20箇所以上から火が出てしまいました。

Q5:現在はもう鎮火しているのでしょうか?
A5:2月19日現在もまだ数箇所の山火事が延焼中で,全く手がつけられない状態です。ビクトリア州の現在の火災状況はこちらをご覧ください。

Q6:どうしてこんなに,いつまでも消えないのですか?
A6:山火事には,有効な消火手段はほとんどありません。火が迫った家に水を撒いて延焼を防いだり,ヘリコプターによる散水(Water Bombing)などを行いますが,火の勢いが強い場合はまったく焼け石に水です。ひとえに雨を待つ。あるいは,燃え尽きるのを待つしかありません。今回は非常に広い範囲に火が広がっており,火の前線が長すぎて,すべてに対処することは事実上不可能です。とりあえず,危険なところに消火活動が集中します。従って,他の部分は手付かずとなっています。

Q7:なぜこんなに犠牲者がたくさん出てしまったのですか?
A7:住民は,住居に留まり,家を守るか,避難するかの選択を迫られます。オーストラリアでは,警告は出るものの,この判断は,最終的には,個人に任されていました。今回のことから,今後は避難命令のような形で強制的に避難させる制度も出てくると思われますが,とにかく,今回は,家を守るためにわざわざ山に入って行った人たちも多いそうです。そうした中,今までにない火勢で,想像以上に火の回りが速く,逃げ遅れてしまった人がたくさん出てしまったということです。草木は異様に乾燥しており,燃料がそこらじゅうにばら撒かれているのと同じ状況だそうです。一説によれば,火の勢いが強いところでは,風に乗って,時速120kmのスピードで火が燃え広がるということです。これでは気付いたときにはもう火に囲まれて逃げられません。

Q8:犠牲者は今後も増えるのでしょうか?
A8:まだ行方不明者が残されており,その人達はほとんど絶望的です。従って,新たな犠牲者が出なくても,数としては今後も増え続けるはずです。暗黒の土曜日当日の夕方から気温が下がって,以後,涼しい日が続き,風も弱まっていますので,鎮火方向にあります。しかし,今後の天候によっては再び勢いを盛り返すかもしれず,今後も新たな犠牲者が出る可能性はゼロではありません。犠牲者の数は2月第2週には181名と発表されており,2月17日の火曜日には200人を突破したとのことです。2月19日深夜の時点で,208名というのが公式な数字です。犠牲者数は最終的には300名を超えると言われていましたが,今日の新聞によれば,もう今後,劇的に増えることはなく,200人台前半に納まる見込みだとのことです。

Q9:メルボルンやビクトリア州は46度の酷暑と聞いていますが?
A9:それは暗黒の土曜日,2月7日だけのことで,その前後は涼しい日が続いています。その前の1月の最終週に30度台後半以上の気温が5日間連続で記録されました。しかも中3日は40度を超えました。こんなに長い間猛暑が続いたのは100年ぶりのことだそうです。確かにこの週は異常でしたが,この週に山火事は発生していません。しかし,この5日間で猛烈に草木が乾燥してしまい,今回の災害の布石となってしまいました。2月に入り,20度台前半の涼しい日が続いていましたが,すでに一部で山火事が発生していました。そして7日に気温46度,猛烈に乾燥した北風が吹き荒れたのです。しかし,この日の暑さは夕方6時ごろには収まりました。翌8日からは20度台前半の涼しい,朝夕はむしろ寒い日々が続き,翌週は30度前後,しかも乾燥した空気で,日なたに出なければ比較的快適に過ごせる気候が続いています。したがって,7日以降,暑さに悩まされるというほどのことはありません。

Q10:南半球は南に行くほど寒いはずですが,オーストラリア大陸の南東端に位置するメルボルンで,どうしてこんなに暑くなるのですか?やはり地球温暖化の影響でしょうか?
A10:メルボルンでは,40度前後の猛烈に暑い日が年に数日あります。これは大陸の北の方から熱波が押し寄せるためです。空気は乾燥しており,日本の35度よりは,こちらの40度の方が過ごしやすいぐらいです。今回の46度はさすがに参りましたが,とにかく,これはメルボルンやアデレードの夏に普通に起きる現象です。ただ,今年のように,これが5日間も続くことは普段はありません。確かに異常気象ではあります。近年のビクトリア州の水不足も,この異常気象から来ています。水源地での降雨量が劇的に減ってしまっているのです。しかし,メルボルン都市部の降水量は特に減っていませんし,冬は近年,例年より寒いと感じるぐらいです。
地球温暖化はどちらかというと北半球で観測されている現象で,南半球はむしろ寒くなっているというのが定説です。南極の氷が解けて海に崩れ落ちる映像がよく温暖化の証拠として,流されますが,あれはいつもどこかで見られる光景にすぎず,温暖化とは関係ありません。

Q11:オーストラリア国内の対応は?
A11:国をあげて,この火事の鎮火,被害者の救済など,一丸となって取り組んでいます。赤十字を中心とした募金も盛んに行われています。こういう国民相互の助け合いは,とても熱心なもので,伝統的「マイトシップ」が今も息づいていると感じます。大手スーパーマーケットのColes(コールズ)では,2月13日の売上げ金をすべて,この山火事の復興のために寄付しています。それ以外にも多くの企業,そして個人が寄付を寄せています。

Q12:私にも何かできることがありますか?
A12:今回の災難では,200人を超える死者が出たことをはじめ,さらに多くの負傷者がおり,そして,千人を超える人々が,家を失いました。喪失家屋は700を上回ります。
メルボルン,ビクトリア州,オーストラリアに住んでいる人,住んでいたことがある人,訪れたことがある人,親戚や友達がいる人など,とても他人事とは思えないという方は,赤十字に寄付なさってはいかがでしょうか?
クレジットカードがあれば,Webサイトで簡単に寄付ができます。

 

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