メルボルンに帰りついて二日が過ぎた。今日から出勤。初日はさすがに疲れた。
もうひと頑張りして,帰り便のJetStarについての報告。今日は長いよ。題名の「NRT->(BNE!!)->OOL->MEL」の意味はお分りだろうか。まあ,追々説明していこう。
新東京国際空港。またの名を成田空港。空港コードはNRTである。
JetStar12便(JQ12)ゴールドコースト行きは,成田を20時10分に出発する。
国際線だから,チェックインは2時間前を目途に成田に向わなければならない。中野の自宅を16時5分過ぎごろ出発。我が家はJR中野駅まで,大人が急がずに歩いて15分もかかる。重いスーツケースを転がしていくので,10分ぐらい余裕をもっての出発となった。予定より1本早い中央線快速東京行きに乗れた。
東京駅を17時3分に出る成田エクスプレスに乗車。ここで見送りの両親と別れる。そして,しばし娘ともお別れだ。娘は17日の便で後から帰ってくることになっている。長い夏休み,今すぐ帰っても,メルボルンで暇を持て余してしまう。そこで,今回初めて娘を置いていくという試行をした。
17時55分,成田第二空港ビル駅着。その後レンタルしていた携帯を返還。トイレに行ったりしてから3F出発ロビーへ。18時10分ごろ。ちょうどいい時間だ。
チェックインカウンターの場所を確認するため,出発便の一覧を確認。
ガーン!JQ12は,出発時刻20:10とあり,その右に出発予定21:10となっている。なんだよ,もうこの時点で1時間遅れが確定しているではないか。後で分かったことだが,要するに,この飛行機の成田到着が遅れたのがこの出発遅れの原因だった。どうして到着が遅れたかというと,前日の出発が遅れたからで,それはその日の到着が遅れたから。で,その理由はそのまた前日の出発が遅れたせいであり,こうしてたどっていくと,どうやら就航した昨年12月18日のゴールドコーストで,初便の出発が30分遅れたのがそもそもの原因だそうだ。って嘘だよウソ。でもそう思いたくなってしまうのですよJetStar殿!(なお,最初の理由は少なくとも本当である。その先は…知らない。)
そして,もっと恐ろしいことに,この日のケアンズ行きJetStarは出発時刻が20時何分だったか,とにかくわれわれと同じぐらいのスケジュール。ところが予定欄にはなんと!
「日程変更」
と書いてあった!
な,なんなんだこれは!?
ケアンズに行く人達は,いったいどうなったのだろう。どなたか,知っている方,コメントをお寄せください。
ともあれ,チェックインカウンターはBだった。はるかかなたにAとかBとかいう表示が見える。人が沢山群がっているように見えるが,まさか?
と思ったらそのまさかで,カウンターは長蛇の列であった。あーあまたかよ。もう慣れたよ。いやいやいやいや,こんなこと何度やったって慣れるわけないだろ。
さてケアンズ行きのカウンターもBという表示があったのだが,実際にはAに並ばされていた。しかし,この人達,日程変更でいったい何時ここを発つのだろうか?
それとも,ここにいるのは,昨日飛べなかった人達なのだろうか。
とにかく,案内表示には両便ともBに並べとあるのに,実際にはBカウンターはゴールドコースト行きのみとなっていた。なんたる不手際。
エコノミークラスのカウンターは六つあいていたが,それでもなかなか客がはけず,列は一向に進まない。
ただ,ラッキーだったのは,上記の嘘の表示のため,我々の列の前に並んでいた数名が実はケアンズを目指す人で,係員の確認を受け,Aのカウンターに並び直して去って行った。この人達もかわいそうだった。
結局,チェックインに丸々1時間を要した。第二ターミナルの他のカウンターはすべて手続きが終わり,ただっぴろい出発ロビーは閑散としている。それなのに,このAとBのカウンターだけが異様に混んでいた。どうしてこうなるの?
1時間を要したとはいえ,まだ19時10分。搭乗開始は20時40分と言われたから,まだ1時間半も余裕があった。
ここで決断。出発が21時10分として,食事が始まるのはもっとあとだ。今回は機内食を予約したが,これを待っていると相当おなかがすくと予想された。
そこで名残りの日本食とばかり,天ぷら屋に入って,天ぷら定食を食べた。昨日寿司は食ってしまったので,今回まだ食べていなかった天ぷらに落ち着いた。結果的にこれは正解だった。
さて,出国手続きを済ませ,最後のお土産を買って,ゲートへ。
ははははは,20時40分になってもなんの動きもなかった。そんな気がしてたんだな。放送で搭乗開始は21時5分と告げられた。
21時5分。今度は嘘じゃなく,本当に搭乗開始。すると出発は21時30分チョイ前か。
と思いきや。いつまでたってもその気配がない。席に着いて,シートベルトを着けたまま,延々と待たされた。
なんの手続きが滞っていたのかはしらないが,ドアが閉まったのは22時丁度だった。おいー!
ってことは,おめえ都合2時間遅れになっちゃったじゃねーかよ。
最初に1時間遅れというのを見たときに,「ゴールドコーストでの乗り継ぎは大丈夫か?」と不安になった。実際チェックインの係の女性も。「乗継ぎの時間が,かなりタイトになってしまいました。もし乗り遅れてしまった場合は,ゴールドコーストに係の者がおりますので,メルボルンまでの便のスケジュールをしてもらってください。」と告げられた。
まあ,別便に振り替えてもらえるようなので,「なんとか明日中には着くね!」と安心した。
97年の暮,シドニー発関空行きでは,「まさか今日中には着くだろう」という予想を見事に覆してくれたJetStarである。このぐらいのことでは驚かない。
さて,22時00分に戻ろう。これで約2時間遅れ。現在予約してある乗継便には,まず間に合いそうもないな。そう思った矢先,さらにダメ押しの一打が炸裂!
「当機は,本日,機長交替のため,まずブリスベン空港に着陸いたします。機長交替次第,すみやかに離陸いたしますので,なにとぞご了承ください。」
き,き,きちょうこうたい…って何?何?なんなの?
そんなおめーらの都合で勝手に不時着するなよ。どういうことだよ。機長は病気なのかよ?それはないよな。それじゃ怖すぎだもん。じゃあ,どうしてだよ。機長がデートに間に合わないとかそういう理由かよ?
とにかく,理解に苦しむ。
もう乗継便には間に合わない。あきらめの離陸。Take Offは22時15分だった。
zzzz…
私は眠りに落ちていた。着陸態勢のあわただしさで,おぼろげながら目が覚めた。
機長都合の不時着。ブリスベン,そう,空港コードはBNEですな。タッチダウンは現地時間(日本時間+1)の8時20分だった。日本は朝の9時20分。つまり,正味の飛行時間は11時間5分だったことになる。長かった。しかし,まだゴールドコーストに着いていない。
そのあとまた眠りに落ちた。どれぐらいの時間がたっただろう。
ときどき眼が覚めるがまた寝入ってしまう。うつらうつらと時間が過ぎていく。
やがて飛行機が動きだした。
ああ,動いたか。さて,何時かな。時計を見た。
ガーン!
時計は9時15分を指していた。おい!もう俺が乗るメルボルン行きはとっくに出ちまったじゃないか。
もう情けない。8時20分に着陸してから,今まで何してたんだ。
「機長が交替したら,すぐに離陸します。」って言ってたじゃないか。
JetStarのウソつき野郎!
替わった機長は調子いい。
「飛行時間はわずか17分を予定しています。実際,そんなにかからないと思うよ!」
だとさ。
Take Off 9時30分。あーあ。
はーるばるきたーぜゴールドコォストーっときたもんだ。タッチダウンは9時45分。
ほんとだ。早かったよ。パチパチパチパチ。いよ!運ちゃん。どうせ俺の飛行機はもう出ちゃった後だからよ。そんなに飛ばさなくてもよかったんだぜい。あ,飛ばさなきゃ飛行機じゃねーか。
ドアオープン9時50分。再び国賓並み。タラップを降りる。
さて,一度経験済みのゴールドコースト空港。空港コードはOOL。何でか?別名クーランガッタ空港だからよ。
今度は迷わないよー。
出国手続きを済ませた。次は超狭い荷物のピックアップ場。
不思議なんだけど,同じ時に預けたはずの二つの荷物。今のところ,片方は必ずかなり遅れて出てくる。どーしてなのかー。
そして,97年暮れの関空ではこの2個目がついに出てこなかったので,いつも不安になってしまうよ。
それでも2個目が無事出てきた。次は税関だ。
X線チェックしたおっさん。めざとくスーツケースに入れたハイチオールCのビン6本を発見。
「あんたら,なんかクスリ入れてるっしょ?」
「はあ?薬っすか?いやーそうだったかなあ。」
「何でもいいや,とにかくこのスーツケース二つとも開けて!」
ええー,こんなの初めてー!まったくクイーンズランドの連中は意地が悪いね。
「両方開けんの?」
「おおよ,両方っていったら両方でい。」
しかたねえから,両方開けてやった。おうおう,あったあった,これかこれか,これらが変なクスリじゃないかっていうお疑いか。これらはだな。まあ,なんというか…
妻:「ゼーあー,じゃすとばいたみん!」
もう英語もでねえ。疲れてる。
「そうか,Vitaminならいい。これは?ワインか?うん?ああ,サキー(sake)だな。まあいいだろう。これは?おう,こっちがワインか。よっしゃ。あと,こっちにも同じようなビンがあるな。これも同じVitaminだな。よし,いいだろう!サンキュー!」
あーあ。よりによってこんなときに,人生初めてぐらいの御開帳をやらされちまった。これじゃ俺達ヤクの運び屋みたいじゃんかよ。
さてさて,やっとこ外に出たぞ。わかってるんだ。ここはターミナル2.ここからターミナル1に移動だ。それにはまず建物の外に出て,歩道を歩く。
さてやってきたのがターミナル1。悪名高きJetStarの巣窟である。
機内放送によれば,なんでもサービスカウンターってとこで,便の振り替えをしてくれるっていうじゃないか。
しかしだな。そのサービスカウンターっていうのがどこにあるんだかわからん。
メンドくせえが,その辺の係の人に聞いた。すると,とにかくチェックインカウンターに並べとのこと。だったら最初からそう言えよ。まったく申し送りとかしないのかよ。
さて,私が並んでいる間に,妻がものは試しと,そのそばにあるセルフサービスのチェックインの機械を使ってみた。すると,なんとちゃんと次の便の席が取れた。おー。やった。11時30分発。メルボルン行き。そこに燦然と輝くタラマリン空港のコード「MEL」。これで,なんとか今日中に家にたどり着けそうだ。
で,チェックインカウンターの列に並んでいたが,この列がまたもや,一向に進まない。しかし,すぐに気づいた。お,ちょっと待て。もう俺達はチェックインが済んだんだから,Bag Dropに並べばいいんじゃないか。
「はいはい,ちょっとごめんなさいよ。おれたちゃこの列じゃなかったんだよ。まっぴら御免なすって。そこ通してくだせいやし。」
で,荷物をBag Dropカウンターへ。
そこで,たぶんこれが最後のひともんちゃく。
「あら,あなたたち,国際線からの乗継ぎですか?ちょっとロバート(仮名),これ間に合うの?」
隣のカウンターのロバート(仮名)が自分の客をおっぽらかしてやってきた。
「うーんと,あと40分あるから,大丈夫だろ。やっていいよ。」
ほっとしたのも束の間。
「ねえロバート(仮名),この場合,コードは何入れるのよお?」
「ああ?あーちょっとまってくれ。えーとだな。ここはこう。これはこうだ。次からは覚えてな。」
「はーい」
ああ,何とか通った。よかった。
これで,荷物をX線にかけ,自分は金属探知機のゲートをくぐって。ついに,ついに,長い旅のすべてのチェックポイントが終わった。ばんざーい。
メルボルン行き11時30分発は結局20分遅れでドアクローズとなり,タラマリン空港タッチダウンは14時55分。メルボルンは,日本時間+2なので,日本時間にして午後12時55分。予定を約4時間遅れての到着となった。
で,荷物をピックアップというところで,予想を覆す最後のトラブル。
ターンテーブルが回っているが,なかなか荷物が出ない。約15分待っただろうか。やっと荷物が出始めた。ところが30個ぐらい出たところで,突然ターンテーブルが停止した。
そのままさらに10分以上が経過。やがてアナウンスが流れ,ターンテーブル故障につき,隣のテーブルを使うこととなった。
ま,これはおまけ,JetStarとは関係ない。
車に乗り,一路家へ向かった。到着午後4時。現地時間でだが,出発も到着も午後4時だった。都合22時間。長い長い旅がようやく終わった。
我々の結論。少なくとも,ゴールドコースト経由JetStar便は,今後使いたくない。もうこりごりである。
行きも帰りもトラブルが絶えない。
そもそも,スケジュール通りに事が進むようになっていない。人員配置,設備,人の誘導,表示,あらゆることが機能していない。
そして,クーランガッタの空港はあまりにもぼろく,狭く,設備も貧弱で,もう耐えられない。
ただ,やはり価格は見逃せない。今回3人分の往復料金をQantasと比べると,娘が今年から学校で使うラップトップコンピューターが買えてしまうだけJetStarの方が安いのである。
いやだけど,背に腹は代えられない。そういう決断をすることもあるだろう。
ひとつだけ言えること。あ,二つだな。
旅慣れない,英語ができない日本人にはお勧めできない。
そして,仕事で使うにはあまりにもリスクが高すぎる。
あとは,あなたの懐次第である。