私は別に切手マニアではないが,約15年前に,タダならいいかと思って購読を始めた切手マガジンがある。その名もずばり,「Stamp Bulletin」
Austraria Postからその月発行の切手などを紹介した小冊子で,毎月,郵便で(お手の物ですね)送られてくる。これ,最寄のAustralia Post(郵便局)に行って,申し込むだけ。料金は完全無料だ。
さて,今月送られてきたその小冊子に紹介されていたInventive Australiaというのが面白かったので,この場で紹介したいと思う。
切手シート全体が典型的オーストラリアの住宅の裏庭の風景になっている。絵の質自体はたいしたことはない。しかしその絵の中に,オーストラリア人,または,オーストラリア在住の人がオーストラリアで発明し,オーストラリア製として世に出た製品がちりばめてあり,その部分部分が切手として切り抜きできるようになっている。
オーストラリアの発明品。かなり有名なものから,へー意外!と思うものまでいろいろだった。
以下にざっと説明する。この記事を元に,そのうち我がサイトのを参照のこと。箱入りワイン。大量なので,一度に飲みきれない場合が多いが,そんなとき,空気に一旦触れてしまったワインは,味が落ちてしまう。しかし,カスクは箱の中がビニール製のバッグになっていて,そこに空気が一切混入しない形でワインが詰めてある。そして注ぎ口は箱の下部にある。したがって,飲みかけの状態でも,残っているワインは空気に触れず,ワインが劣化しない。1965年,South AustraliaのRenmarkという所のAngove’sというワインが最初に採用した。
3.Hill Hoist
メルボルンの鍛冶屋,Gilbert Toyneが1926年に特許を取得。物干しなのだが,オーストラリアの家庭の裏庭に数多く見られる。鉄パイプで組んであり,垂直バーから十字状に腕が出ていて,腕と腕の間に針金が数本ずつ,くもの巣の横糸状に張ってあり,ここに洗濯物を引っ掛ける。この十字の腕は回るようになっていて,物干し作業を軽減している。この切手のイラストでは子供がぶら下がって,回ってあそんでいる。当時から,類似品がすでに存在したが,Hill Hoistには,垂直バーの中ほどに,ハンドルつきの節状の部分があり,これで高さが調節できるようになっている。ここが発明部分らしい。それまでは固定高で不便であり,また価格的にもこなれてなかったようである。
4. Speedoの水着
これはスコットランド人Alexander MacRaeの発明で,オーストラリアで開発され,1928年から発売された。当時の水着から水の抵抗を減らすという要求に答え,レーサーバックという背中の形状を編み出したところが発明のようだ。1928年発売。今でもあくなき抵抗削減の追及をしているわけで,すごい執念というべきか?
5. Zinc Cream
日焼け止めクリーム。1940年代にFaulding Pharmaceuticals社が開発した酸化銅(Zinc Oxide)を主成分とするクリームで,紫外線を完全にシャットアウトする。
6. B&D Roll-A-Door
今では街のいたるところで見られる車庫のシャッターだが,B&D Rool-A-Doorは,最初の総スチール製巻き上げ式シャッターである。
シドニーの,ある暑い日,Arthur ByrneとPaul Davidson,そしてその二人の会社の会計士が,暑さしのぎのために,ハイドパークに場所を移して役員会をやった。その席上,スクラップ金属の余ったものをどうしようかという話題となった。これが,最初の総スチール製巻上げシャッターが市販品となったきっかけである。
7. UTE(ユート)
これを発明と呼んでいいのか,よく分からない。UTEというのはUtilityの詰まったものが語源であろう。アメリカでいうピックアップトラックである。ただし,オーストラリアのUTEは,既存セダンの前半分とピックアップトラックの荷台を組み合わせた2座席の
車であり,前半分だけ見れば,全く同一のセダンモデルが存在する場合が殆どである。今でもFord FalconとHolden Commodoreというオーストラリアのライバル2大セダンには,前半分だけみたらセダンと区別がつかないUTEがそれぞれ存在する。
UTEは働くオジーの象徴であり,オプションでルーバー(カンガルーよけの特大バンパー)とクロームメッキのロールバーを着け,荷台に犬,それもオーストラリアンシープドッグや,白黒のボーダーコリーをつないで走るのが正統である。一部の人々からの絶大な人気を集めており,ただのサラリーマンなのに,新車購入時に家族に無断でついUTEを買ってしまったというミドルエイジシンドロームもいたりする。