続・オーストラリアの方が進んでること

銀行のATMとCity Linkに続き,またオーストラリアの方が進んでいることをみつけた。

それは何かというと,交通安全についての意識である。特に,シートベルトだ。

ただし,じゃあ,オーストラリアは交通事故が少ないのかというと,決してそんなことはない。

小さな事故はしょっちゅうだし,人口あたりの交通事故死者数は,オーストラリアの方がずっと多いだろう。
これは,オーストラリアの田舎道が,日本の田舎の国道程度の幅で,片側1車線なのに,制限速度は殆どの区間で100km/hということに起因していると思う。死亡事故はほとんど田舎道で起きているのである。

オーストラリアはシートベルトの先進国として知られているけれど,シートベルトは,本当に命を左右する。こういう事情もあるのである。

全席着用はずっと昔から当たり前だ。乳児はカプセル,幼児はチャイルドシートの使用が義務付けられている。
自転車もヘルメット着用である。

翻って日本は?
もちろん,都市部ではほとんどスピードを出せないから,なくてもいいようなものかもしれない。

しかし,人々の意識が低すぎる。

赤ちゃんを抱いて,助手席にのっているお母さんをよく見かける。これなどは,赤ちゃんをエアバック代わりにしているようなものだ。

日本から来た子供を後部座席のチャイルドシートにくくりつけようとすると,泣き叫んで嫌がったりする。
こちらでは,すごいわがままな子でも,これだけはやらせる(まあ,ちょっといやがる子もいるが)。小さいころから習慣になっているのである。しつけの一環と言ってもいいだろう。

日本では,今だに後部座席のシートベルトのバックルをシートと背もたれの間に押し込んで,隠しているタクシーが多い。
バックルをほじくり出そうとあがいていたら,
「ああ,シートベルト?いいですよしなくても!」と言った運ちゃんもいる。
あんたがよくても,こっちがよくないんだけどね。
私はタクシーの運転手さんを信用してないわけじゃない。しかし,心中するのもいやだ。

一度など,シートベルトをつけたら,運ちゃんが機嫌を損ね,説教を始めたこともある。
「こんなのして,一日中運転してたら,疲れてたまんないんですよ。」だと!
まさか,今ではこんなの許されないけど,昔,シートベルトが義務化されてからも,こういう理屈を言って着用しない運ちゃんが結構いた。
「そりゃ,あんたの運転姿勢が悪いんじゃないのかね。」と,言ってやろうかと思ったが,まあ,言ってもケンカになるだけなので止めておいた。

あと,よくあるのが,「シートベルトをしてなかったおかげで,命拾いをすることもある。」という話である。
トレーラーの横っ腹に突っ込んだが,シートベルトをしていなかったので,体がシートの下にもぐり込み,トレーラーの下になって助かった。シートベルトをしていたら死んでいた。

それは,そういうケースがないとは言わない。
でも,確率の問題だろう。
6発装填のリボルバーに,弾丸が一つしか入っていないピストルと,五つ入っているピストルがあり,どちらかを使ってロシアンルーレットをやらないとならないとしたら,どっちのピストルを選ぶか?そういうことだ。

左ハンドル。これも日本独特のものだ。

オーストラリア(日本と同じ,左側通行)では左ハンドルは絶対に許可されないから乗れない。アメ車だろうが,ドイツ車だろうが,フェラーリだろうが,ランボルギーニだろうが,右ハンドルに改造してないと,ここで運転することはできない。
特例として,ゴミ収集車,道路清掃車など,道路の左脇を見る必要がある車。これは左ハンドルが許される。それから,自動車会社のテストドライブ用の車。
ただし,これらは,バンパーに白地に赤の「LEFTHAND DRIVE」という横断幕のような特大ステッカーを貼り付けないとならない。

これも,よく左ハンドルの方が運転しやすいとかいう人がいて困る。
もちろん慣れの問題があるから,その人はそうなんだろう。きっとヤクザにもそういう人が多いんだろうね。また,左ハンドルの方が安全なケースもあるかもしれない。あ,あと,ナンパするなら左ハンドルかもしれないね。右ハンドルじゃ,歩道を歩くカノジョと話ができないもんね。
しかし,左側通行の国では右ハンドルが安全上好ましいという結論が出ているから,各国でそうしているのである。
もし左ハンドルの方がいいのなら,全部そうするべきであろう。どうしてそうなってないんだ?

日本で左ハンドルが許されているのは,おそらく外車の輸入に都合がいいからだろう。さらにさかのぼれば,進駐軍の車が堂々と運転できるようにということで,規制がゆるくなったなんていう経緯もあるかもしれない。

日本でもせめて,初心者マークぐらいのマークをつけて,回りに左ハンドルの車であることがすぐ分かるようにしてもらいたいものだ。ヤクザマークっていう名称にしたらいいんじゃないかね。この不景気に左ハンドルの車を乗り回しているなんて,ヤクザに決まっている。

それから自転車だ。
さっき言ったように,ヘルメット着用を義務付けないとまずいね。車を運転していて,ちょっと自転車にかすって倒したら,頭をぶつけて死んじゃったなんて,迷惑千万だ。(そういう意味では,左ハンドルの方が自転車巻き込み事故が少なかったりして?やっぱり日本は左ハンドル義務化か?)

あと,歩道を走らせるのは絶対に良くない。
歩行者の安全を優先してもらいたい。歩道を走りたいなら,5km/hという制限速度をつけてもらいたい。現状は歩行者にとって危険すぎる。それに事故がおきても,当て逃げが横行しているように思う。

自転車は,本来,車道を走るべきもの。特定区間で,歩道を走ることを許していたら,なし崩し的に,歩道が自転車に占領されてしまった。
ベルを鳴らして,歩行者を追い立てるなんていうのも日常茶飯事だが,いったいどういう神経だ!?
繰り返すと,自転車は,本来車道なのに,「特別に」歩道を走ってもいい場所が現在では「普通」になってしまった。しかし,本来は歩行者専用のエリアなのであり,歩行者は,自転車に道を譲る必要はなく,自転車に歩行者を蹴散らす権利は一切ない。ましてベルを鳴らすことは厳禁である。横一列で歩いている人がいたら,我慢して,その後ろをゆっくりついて走ればいいのだ。それがいやなら車道を走れ。また,その場合,右側通行は厳禁だ。

以上,こっちに住み慣れて,ときどき日本に帰ると腹が立つことをつらつらと書きたててしまった。

どれもこれも,安全がないがしろにされ,効率を優先することから,こうなっている。
まあ,左ハンドルの件は別だけど,安全がないがしろにされ,それより優先させたいものがある点では同じだ。
事故が起こるたびに,安全のことが叫ばれるけど,こういう意識が,当たり前のうちは,基本的に何も変わらないんだろうなと思う。
あの福知山線での事故の原因は,ひとごとだと思っているなら,また同じような事故が起きるだろう。

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