昨日は九月の最終土曜日。そう聞いて，ピンとくるあなたはオーストラリア通である。そう，昨日はオーストラリアの一部の人々にとっては一年で一番大事な日だった。なんといっても，の日なのだ。前半最後の5分からテレビ観戦した。今年のグランドファイナルの対戦は，Geelong Cats 対 Hawthorn Hawksである。
Geelongというのは，メルボルンの西約80Kmにある街で，ヴィクトリア州のなかではメルボルンに次ぐ第2の人口を擁する。なお，これを「ジーロング」などと読むとオーストラリア通から馬鹿にされる。「ジロン」である。「ロ」にストレスが来る。発音としては「持論」だが，ストレスの位置を考慮すると，「ジ」といった後に，マージャンであがったときのように「ロン！」と叫ぶのに似ている。併せて「ジ・ロン！」だ。
Geelongにはオーストラリアフォードの自動車工場があり，これがこの町の主産業である。したがってこのフットボールクラブは古くからFordのスポンサーシップを受けていて，スポーツクラブのスポンサーシップとしては世界中を見渡しても最古の部類に入るらしい。そのぐらいFordと地元に根付いたチームである。
対するHawthornはメルボルンの東郊外。高級住宅街のひとつであり，学生の街でもある。しかし，そのサポーターはガラが悪いのでも有名だそうだ。
で，私としては，地理的に近いHawthornを応援することにした。
ユニフォームはCatsが白と紺の横縞。Hawksがこげ茶と黄色の縦縞である。このHawksの色使いが嫌いで，いまひとつファンになれないのだが，上記のとおり，地理的に近いので，今日はにわかHawks サポーターとなった。
さて，試合の方だが，素人が見ても分かりやすい戦法の違いがあった。
前半互角の試合をしていたが，後半からジワジワとチャレンジャーHawksが点差を開いていった。
ディフェンディングチャンピォンのCatsはいわゆる横綱相撲を取ろうとした。いつものとおり，キックとパスを織り交ぜた，典型的オーストラリアンルールズフットボールの攻めに徹していた。
対するチャレンジャーHawksだが，自陣でのポゼッションに固執し，フリーキック，マークを繰り返して決してCatsにボールを与えないという戦法に出た。フリーキックでは，確実にマークが取れる形ができるまで，蹴ろうとせず，行き詰ったら左右に，あるいは後退キックを繰り返す。もっと行き詰ると，みずから自ゴールに蹴り出したり，走りこんだりして，自殺点も辞さなかった。自殺点はどうせすべてビハインド＝1点として計上される。1点を捨てても，形というか，ポゼッションにこだわり続け，一旦中盤を抜けるとすばやいパス回しで着実にゴールの6点を狙った。またキッカーの集中力もすばらしいものがあり，難しい位置からも，どんどんゴールを決めていった。
結果，115対89というスコアでHawthornが勝った。このスコアの内訳だが，Hawthornの115点はゴール18，ビハインド7。これに対し，Geelongはゴール11，ビハインドが実に23もある。そして，上述のとおり，この23のビハインドの10点ぐらいはHawthronの自殺点である。
それと，Catsの敗因として，Hawksとは対照的にキックの正確さに欠けたことが挙げられるだろう。これはスコアにも如実に顕れている。さらには，ゴールポスト寸前で得たマークで，フリーキックをゴールに入れられなかったり，自ゴール付近で蹴りそこなってボールを落とすといった，信じられないようなミスが多発した。王者といえども，この大一番で気後れしていたとしか思えない。結果としてHawksに付け入る隙を与え，ズルズルと点差を広げられた。
こんな具合に，分かりやすい試合は，見ていて面白かった。
さて，来週からはクリケットと競馬の季節になる。私としては退屈である。
昨日は暖かなグランドファイナル日和となった，見終わってから，久々のバーベキューをやった。肉はビーフ，ラム，チキンの3種類。野菜は赤と緑のピーマン，タマネギ，アスパラガス，そして直径5cm前後のマッシュルーム。
久々にやると，火加減がうまくいかず，チキンの表面を黒こげにしてしまった。失敗！ビーフも片方は焼きすぎ。ラムも小さいピースは焼きすぎだ。まあ，オジーBBQとしては，ボーボーに焼くのが王道であり，ちっとも間違っているわけではない。
ややワインを飲みすぎ，ソファーでごろ寝してしまった。気が付いたら1時を回っていた。そこで気が付いて，チャンネル10を付けると，F1シンガポールGPの予選をやっているではないか！初の夜間GP。照明が美しい。高速道路がコースの上をまたいでいたりして，夜景が良かった。マーライオンもコース脇に見えた。一度見に行きたいものだ。今日の決勝も楽しみ！
今朝起きたら，風邪が悪化していた。来週は忙しくなりそうなのに，まずい。ま，なるようにしかならんでしょう。