メルボルンという街は観光資源という意味では,ライバル,シドニーに大きく水を開けられている。シドニーのオペラハウスやハーバーブリッジとまともに争える,超有名なランドマークは無いといってもいい。
しかし,あえてメルボルンのランドマークを挙げるなら,まず誰もが以下の三つを挙げるだろう。
- アートセンター (Arts Centre) =写真
- フリンダーズストリート駅 (Flinders Street Station)
- 戦没者慰霊塔 (Shrine of Rememberance)

中でもNo.1のアートセンターは,その優美な形状から,シドニーをオペラハウスで代表させるなら,メルボルンのアイコンはアートセンターだと言い切れる。メルボルンを訪れる旅行者には,是非とも遠くからも,近くからも,じっくり見ていただきたいと思う。
この屋根の上のタワー。実用的には避雷針ぐらいにしか役にたっていないと思われるが,オブジェとしては悪くない。なんでもこれはバレリーナのスカートを象徴しているのだそうだ。この下の建物にはステートシアターを筆頭として大小のシアターがある。この隣,ヤラ側に近い方は,ちょうどフリンダースストリート駅とヤラ川を挟んで対岸の真向かいに位置するところにあたるが,ハマーホールというコンサートホールもある。アートセンターから見て,このハマーホールの反対隣には,NGV,すなわちナショナルギャラリーオブビクトリア(ビクトリア国立美術館)があり,このあたりは押しも押されぬメルボルンの芸術の中心地である。最近ではこのあたりをArts Precinctなどと呼び,トラムストップの名前にもなっている。
さて,本日のお題であるが,このバレリーナ。胴体部分は純白に塗られた鉄骨で組まれているのはご覧のとおりである。これが夜になるとどうなるかというと,下記のように美しくライトアップされ,これまたいいのである。私はトラム通勤するときは,会社がこのアートセンターの裏手にあるため,いつもこのバレリーナを見ながら出勤,あるいは帰途につくわけである。今は冬だから,6時近くなるともう暗くなって,こうしたライトアップが始まっていて,仕事の疲れを癒してくれるのだ。

ところが,今日みたら,このライトアップがこうなっていた!

いつもなら青くライトアップされている塔の中心部分が赤いのだ。
実はこれ,今日が初めてではなく,何度か赤いのを目撃している。最初は時間とともに変わるのかと思っていたが,そうでもない。どうやら日替わりなのかと思ったが,普段はたいてい青い。
どうして今日は赤いのか?私はついに意を決して,アートセンターの建物に入り,インフォメーションデスクの女性に訊いてしまった!
「すみません。ちょっと馬鹿々々しい質問があるんですが。」
「はい,なんでしょうか?」
と馬鹿に付き合ってくれたのはSusanという名札を付け,偶然にも同じ赤い色をしたフレームの眼鏡をかけた女性であった。
「今日はどうしてこのビルの上のタワーが赤くライトアップされているんですか?」
すると,彼女,馬鹿々々しいなどとも微塵も感じさせない表情で,
「実は私も気になってたのよ」
といいつつ,目の前の端末でなにやら調べ始めた。
いやーそこまでマジで付き合ってもらわなくて良かったんだけど。
で,結論としては。
「うーん,今日は何の日なのか,分からないけど,とにかく何か特別な記念日みたいなときに赤くしているんですよ。今日はどうしてなのか,わからないけど,たとえば,国際エイズデーのときなんかそうでしたね。」
という。そういうことか。
「ありがとう。で,あなたのその眼鏡は単なる偶然ですね。」
「はいそのとおり」
「それでは」
てな具合で退散した。
帰ってからWebで調べたが,手がかりは見つからなかった。唯一,先ほどの国際エイズデーに塔を赤くライトアップするという記事を見つけた。
City landmarks dressed in red for World AIDS Day (City of Melbourne)
ということで,とにかく,誰かの要請で,何かを記念,あるいは祈念して赤くなる日がある。ということが分かった。ま,それだけのことといえばそれまで。