今日はHiromiのコンサート。親子三人して聴きにいってきた。
場所はMelbourne Recital Centre。
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ひろみったって郷ひろみじゃないよ。日本人のピアニスト上原ひろみだ。海外ではHiromiで通しているそうだ。メルボルンでも最近とみに有名になってきた。ジャンルはジャズというのが一番近いだろうが、ジャンルを超越していて、ロック、それもプログレッシブロックのテイストから、ジャズ、フュージョン、クラシカルまでがごちゃ混ぜっていったらいいか。ジャズって言葉がそもそもごちゃ混ぜみたいな意味だと聞いたことがあるから、これぞ究極のジャズという言い方もあるだろう。
なにしろ、中学生のころ、かのチックコリアに気に入られ、競演してしまったという天才ピアノ少女である。今はさすがに成人しているが、まだあどけなさの残る単なる日本人の女の子に見えなくもない。
前座のジャズトリオバンドが最初の1時間ぐらい演奏。そのあと休憩を挟んでHiromiの登場だ。Totoのドラマーを勤めたこともあるサイモン・フィリップスと、6弦ベースギターを操るアンソニー・ジャクソンを従えてのトリオ編成。ベテラン二人をキリキリ舞いさせるような、目くるめくピアノだった。
ジャズピアノというと、今まではビル・エバンスのような半病人、いやりっぱな病人の病的な曲ばかり聴いてきた私にとっては、ぶんなぐられるような陽性のパワフルな演奏だった。それにしても、あの細い腕と指からどうしてあんな激しい音が出るのか。気を感じる。しかもピアノが楽しくってたまらないという全身からの明るい気だ。こういうとき、元気をもらいましたなどというのだろうが、私などは、もうこの娘には到底かなわない、手が届かないという絶望すら感じさせる。桁違いのパワーだった。
サイモン・フィリップスのドラムスはさすがにかっこ良く、怒涛の連打なのだが、Hiromiのパワーは決して負けていなかった。アンソニー・ジャクソンさんは、ガマ親分の身体にオバQの頭をつけたような容貌、そしてベースを弾くたびに、目と口がカッと開いて、なにやらこのまま痙攣して死んでしまいそうな様相で、最初あっけにとられ、失礼ながら、やがておかしくて正視に堪えなくなってしまった。あまり見ないようにしていたけど、6弦ベースは通常のエレキベースと普通のギターの音域も一部カバーし、なかなか幅のある楽器で興味深かった。
メルボルンの聴衆としては、めずらしく、スタンディングオベーションとなり、アンコールを1曲。計6曲2時間の演奏、あっという間だった。
娘が記念にCDを買うというので、よしお父さんが出してあげるといって、調子にのって2枚も買ってしまった。だって1枚30ドルのところ、2枚なら50ドルっていうんだもん。
以前、翻訳通訳プロのDRの家でお会いしたことがあります小林公典と申します。
私もHiromiのコンサートにはトリオのものとソロのものと2日間行きました。もう一日Bennetts Laneのクラブのものも行きたかったのですが、チケットが早々売り切れで断念しました。
彼女のアルバムはこれまでオンライン・音楽ダウンロードのサイトで購入して結構聴いていたのですが、実演はなかなか良かったです。仰るようにBill Evansなどのタイプとは全く違うのがちょっと戸惑いますが、それはそれとして素晴らしい演奏でした。
スタンディング・オベーションには日本人としても誇りに思いました。OZの聴衆も結構感動した人が多かったのではないかと思います。お嬢さんも楽しまれたようで良かったですね。