試食販売の天才

今日はスーパーで買い物。買い物は別に一週間に一度と決めているわけではなく,平均して2-3回はスーパーマーケットに行くだろうか。でも,ウィークデーの夕飯の材料は,ほとんど前の週の土曜日にまとめ買いするようにしている。いつもは近所のスーパーに行くのだが,土曜日は,娘の習い事の関係で,その行き先のそばのスーパーに行くこともある。今日もそのスーパーに行った。場所はKewという街にある,お金持ち御用達で有名なスーパー,Leo’sというスーパーマーケットである。

ここの品揃えは,高級品,輸入品などが多いことが特徴だ。肉類の質もいい。ただ,当然ながら,お値段がちと高い。
高級感はあるのだが,店内は割と狭いのが玉に瑕である。通路が狭く,ショッピングトロリーをスイスイ押していくというわけには行かず,しょっちゅう行く手を阻まれたり,阻んでしまって道を譲ったりを繰り返す。

そういう狭いところにも関わらず,試食販売をやっていて,迷惑なことはなはだしい。

うちでは,いつも夫婦で分業。私がトロリーを取り回し,その間妻が品物を選ぶ。適当なところでトロリーをスーッとそばによせて,妻が取っていた品物をドサドサと入れていく。これでかなり迅速に買い物ができるのである。

ちょっと私が,別の品物に見入っていたら,いつの間にか,妻がいつもなら寄り付きもしない試食販売のところに張り付いている。へえー,珍しいこともあるもんだと思って私もそちらに向っていった。

今日の試食販売は,オランダ産のチーズ。よくある丸い形の直径数十センチ,厚さ20センチぐらいの塊を適当に切って,量り売りしていた。

オランダのチーズは回りを固めているワックスの色で区別できる。オレンジっぽい黄色がゴーダ。赤がエダム(オランダ人によれば,「エィドム」というのが正しい発音らしい)である。

今日売っていたのはゴーダに近い色だが,もっと純粋な黄色に近い。売り子のお兄さんは,それと同色のポロシャツを着ている。オランダなまりかどうか分らないけど,かなり強いアクセントで話しかけてくる。

2種類あるが,見た目はどちらも同じ,ただ,味が微妙に違う。私も試食。最初のやつは,ノルウェー産ヤールスバーグに似た風味。次のはよくあるごく普通のプロセスチーズに近い風味。私はヤールスバーグはあまり好きでないので,後者が気に入ったが,妻は逆にヤールスバーグが好きで,前者が気に入った。こうなると,もう衆議院と参議院じゃないけど,妻の意見が優先される。「いかがです。このチーズの脂肪分はチェダーの半分なんですよ。」
崖っぷちに立つ妻の背中を押すのはこの一言で十分だった。しかし,妻もただで落っこちるのは癪だったと見える。「ここにあるだけ?もう少し小さいのがいいんだけど。」と一応文句と付けてみる。お兄ちゃんは足元付近に隠してあった箱から小さめの切り身を出して,渡してくれた。

ははあ,そうか。そこで私ははたと気が付いた。要するに,このお兄ちゃんに吸い寄せられて,普段ほとんど引っかからない試食をしていたんだ。

その後,しばらくその付近で野菜などを買っていたが,見ていると,入ってくる奥様,おば様,ことごとく,そのお兄ちゃんにスーっと吸い寄せられていくのである。

背が高くて,まあまあハンサムで,いかにもヨーロッパ系のアクセントで,「こんにちは,チーズいかがですか?」とやられると,抵抗できないようなのだ。

ふーん。なるほどねえ。私が経営者なら,「キミィ!チーズ会社の派遣もいいけど,うちで専属で働かない?」と誘っていたことだろう。

普段,ここで試食販売をやっているのは,たいていはおばさんかおじさんである。どちらもまあまあ人が寄ってはいるが,今日のように,入ってくる奥様連中が,磁石のように吸い付けられる現象は初めて見た。

男女機会均等とはいえ,衆議院(=最終決定権)の過半数が女性で占められている現状をかんがみるとき,試食販売の売り子は若くて,背が高くて,ハンサムで,できればアクセントのある男性が一番いいということになるようだ。

さーてと,そんなことはどうでもいいや。今夜はいよいよ因縁の対決。我らがワラビーズはイングランドとの対戦だ。イングランドはあの憎っくきジョニー・ウィルキンソンが先発メンバーで出てくる。こちらもスキッパー,モートロックが怪我から復帰した。4年前の借りは必ず返す!もうすぐ放送開始。楽しみだ。

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